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放射性炭素年代測定:歯 vs 骨

March 15, 2018

研究者の方々から「放射性炭素年代測定に最も適しているのは、骨ですか?それとも歯ですか?」というご質問をよく頂戴いたします。
弊社の経験からお答えしますと、どちらも年代測定に適しています。

しかし、いずれの場合も測定対象を決定する場合には、環境条件を考慮することが重要です。

※すぐに試験依頼をご希望の方・・・弊社ウェブサイトからご連絡ください。

水中に沈められていたサンプル

長期間、水に浸されていた骨は、十分なコラーゲンを含有していない可能性があります。
ほとんどの場合、コラーゲンタンパク質は骨から水に溶け出てしまうため、放射性炭素年代測定には適さないのです。こうした骨のサンプルは、共通して白く、もろく砕けやすく、ほんの少し圧力がかかっただけで、粉々に砕けてしまいます。

上記のような理由で、長い間、骨が水にさらされていた場合は、歯の方が年代測定に適していると言えるでしょう。歯は象牙質がエナメル守られているので、損傷から保護されています。

C14分析の推奨サンプルサイズ

Beta Analyticでは、骨および歯のAMS測定を行っています。放射能分析(Radiometric法)による測定は行っておりませんのでご了承ください。

人間の歯については、切歯もしくは犬歯一本を丸ごとの状態がサンプルに適しています。大臼歯を送る場合は、4本の歯根の送付も必要となります。
動物の歯については、サンプルのサイズは、動物の種類によってことなります。大型の哺乳類の場合は、歯1本で十分ですが、小さい動物の場合は、一度弊社に必要量をご相談ください。

AMS年代測定に適している骨のサンプルサイズは、火葬前の骨は2-10g、火葬後のサンプルは4-40gです。AMS年代測定に最も適した骨の種類については、弊社では、体の大きめの骨(大腿骨、脛骨、上腕骨、顎、頭蓋骨板、肋骨など)から取った状態良い皮質骨を推奨しております。

関節部分、椎骨のようなスポンジ状の骨では、過酷な状況下では良い状態で残らない傾向があり、AMS年代測定に必要なコラーゲンが不足する可能性があります。

鳥類・魚類の骨の場合は、弊社に必要量をご相談ください。2-4gの試料では、前処理を施した後AMS年代測定を行うには、不十分な可能性があります。

骨コラーゲンのAMS年代測定を受け入れています

Beta Analyticでは、抽出した骨コラーゲンのAMS年代測定をお引きすることが可能です。ただし、最終報告書では、ISO/IEC17025:2017規格の規定により、「骨コラーゲン」ではなく、「有機物」として記載されることを予めご了承ください。
また、弊社のラボにて化学的な前処理や抽出作業を行わない場合、サンプルの品質に影響を及ぼす作業が弊社の管理外および認定範囲外であるため、年代測定がなされたサンプルについての具体的な証言はできません。

粉状の骨(パウダーボーン)の年代測定について

弊社では、粉状の骨を送ることを推奨しておりません。ドリルなどで削られ、提出前にパウダー状になってしまった骨は、正確な結果を得るために必要な前処理を十分に行えない可能性があります。粉状のサンプルを送る以外に選択肢がない場合は、骨を削ったり粉砕したりする前に、骨に付着している汚染物や入り込んでしまっている汚染物を確実に取り除いてください。多くの場合、物理的に表面を切り落とす作業と化学処理の両方が必要となります。

Beta AnalyticのAMS年代測定サービス

骨、歯いずれの場合においても、弊社のスタンダードAMS年代測定サービスは、14営業日以内に結果をお知らせします。しかし、タンパク質があまり良い状態で保存されていなかったり、サンプルについて追加情報が必要となってしまった場合には、2-3日の日数が追加的にかかってしまう可能性があります。

Beta Analyticの試験機関は、米国フロリダ州マイアミに位置し、すべての分析/測定を一貫して行っております。サンプルはマイアミに直接、もしくは世界各地の代理店へお送りいただ毛ますようお願いいたします。代理店に送られたサンプルはすべて弊社の費用で速達便を使いマイアミに送られます。お問合せは、lab@radiocarbon.comまでご連絡ください。(日本語対応可)